カッパァ華
河童山の火災は一向におさまる気配はなく、火の手はますます悪魔のように燃え盛っていた。



そこには膝から崩れ落ち、泣き叫ぶ秀樹の姿があった。



「秀くん……」



横には同じく涙を流し、なにもできない自分自身を悔しく感じているゆいの姿もあった。



「ゆいちゃん……カッパァが……
このままじゃ死んでしまうよ……
俺、カッパァに助けてもらったのに、俺はカッパァ助けられへん……
悔しいよ……おれ……
カッパァ今頃きっと、泣いてるのに……
俺は助けてあげられへん……」



秀樹は悔しさから、地面を何度も何度も小さな拳を握り締めて叩いていた。





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