カッパァ華

政吉は穴の暗さにも、だんだんと目が慣れてきていた。



穴の中には、まだ煙が出ている木々が残り、地上以外でも山火事の壮絶さが一目で分かる状態であった。



身をかがませ、進んでいた政吉は、この穴が奥行きがあまりない穴だと分かったと同時に、政吉の目には二つの大きな塊が抱き合っているのが映り込んだ。



政吉は、しばらくその２つの塊を瞬きもせず見つめ、そして涙が自然と流れ落ちていた。



「カッパァ……お前……
苦しかったよな……熱かったよな……

せっかくまた逢えたのに……
もっともっと見ていたかったのに……
もっともっと話したかったのに……」



そこには、大きな２匹の、２度と動くことは無くなった姿があった。