カッパァ華
涙を流しているまま、政吉は地上へとゆっくりと戻って行っていた。



「おとん! カッパァは? カッパァはいたんか? 大丈夫やったんか?
大丈夫だったんだよな?」



政吉はゆっくりと地上の空気を吸い、秀樹に答えていた。



「お前の友達の河童様だけは穴には、いなかったみたいや。
どこか他で逃げ延びていることを祈るしかない……」



「だけって……なんだよ? どういうことだよ……?」



「お父さんの友達はな……
中で死んではった……
きっと、相棒だろう河童様と一緒に抱き合ってな……」



政吉は重い口を開き、天を仰いでいた。



そして、昔の記憶を思い出しながら、
ただ黙って口ずさんでいた。



「カッパァ……ありがとうな……」



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