カッパァ華
二人は時間も忘れ、辺りが暗くなるまで懸命に探していたが、小さな河童は見つかることはなかった。



「おとん……どこにもおらん……
でも……見付からないってことは、生きてる証拠だよな? なっ! そうだろ?」



「ああ。どこかに移動したのかもしれんな。きっと生きてる。そう信じてまた明日探そう。
今日は、もう暗くて辺りが分からなくなるからな……」



「そうだよな……
明日朝一番にまた探すから!
きっと生きてるから!
俺、明日からまた頑張るから!」



秀樹は自分自身に言い聞かし、その場を後にした。


政吉は、穴の方向を見つめ悲しさと悔しさの表情を浮かべたあと、秀樹の後をゆっくりと追いかけていた。



< 154 / 193 >

この作品をシェア

pagetop