カッパァ華
政吉は穴の前に着くと、周りの焼け焦げた木々や華々を綺麗に片付け始めた。



そして、暗くて見えにくい穴の中に入ると、背中に背負っていた鞄から木箱を取りだし、動かなくなった友達の横に静かに置いていた。



「カッパァ……長い間、この手を大事に保管していたんやよ。
あの世でまた両手使って、元気に泳いでくれな……
ありがとうな、カッパァ……
ほんまに、楽しかった想い出をありがとう。
俺、ずっとずっとこの先もお前の事は忘れないから」



そう言うと、政吉は地上に戻り、持ってきたスコップで穴に土を静かに入れていった。


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