カッパァ華
「遅かったな。おとん」



「ああ。飯は食うたんか?」



「まだや。待ってたから」



「そうか。じゃあ飯にしようか」



二人は遅い夕食を済まし、二人で風呂に向かっていた。



「なぁ、おとん……カッパァどこにいったんやろか……」



「あんなに探しても見付からないんやから、きっと遠くに逃げてるのかもな」



「じゃあ、生きてるってことだよな?」



「そう信じよう。あの小さい河童様がいなくなれば、ほんとうに河童様はこの世から、いなくなるかもしれないしな」



「他の村にはカッパァは、いないのか?」



「さぁどうだろうな。聞いたことはないけどな」



「そっか……でもカッパァは生きてる!
俺、そんな気がすんねん!」



二人は風呂を上がるまでずっと河童の安
否を気遣っていた。



「嫌だよ……また大切なものがいなくなるのは……おかんもいなくなったし……」


秀樹はそう呟きながら、パジャマに一人で着替えていた。



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