カッパァ華
「ただいまぁ! 
おとん帰ってるかぁ?」



「まだみたいね。もう少ししたら帰ってくると思うよ」



「そっかぁ! じゃあ、ランドセル背負ったままいようかなぁー」



「あはは。秀樹ったら。
重いでしょ。お父さんが帰ればまた背負えばいいんだから」



「俺、強いからヘッチャラやわー!
おかんの病気も俺が治してあげれたらいいのになぁー……」



「秀樹の元気でお母さんまで元気になってきてる気がするよ! ありがとうね、秀樹」



「よかったー! このままずっとずっと元気になっていってほしい!
今日はもう、病院に帰らなくてもいいんだろ?」



「そうだよ。明日の朝には帰らないと行けないけどね。
じゃあ、さっそくお母さんが何か作ってあげる! 何が食べたい? 秀樹?」



「えー、じゃあ俺はたこ焼きが食べたい!」



「はいはい。秀樹はほんと好きだね」



そう言うと母親は台所に向かっていた。


秀樹はその姿を眺め、おおはしゃぎで喜んでいたのだ。



しかし、これが秀樹が見る、最期の料理をする母親の姿になっていた。



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