カッパァ華
「どういうこと? おとん?
危篤って、どういう意味だよ?
なに、慌ててんやよ?」



初めて聞く言葉に、秀樹は政吉にキョトンとした表情で聞いていたのだ。



「お母さんが倒れたんや……
お母さんが危ないんや……」



「倒れた? 朝は、あんなに元気にしてたやないか!
嘘いうなや! 
おかんが倒れるわけないやないか!
そんなわけないやないか!
また元気になって、帰ってくるって……
そう言ったやないか!」



「秀樹……いいから、早く車に乗れ。
すぐ病院に向かうぞ」



二人を乗せた車は、静かな山間を抜けて病院に向かっていた。



その間も秀樹は、ずっと叫び続けていた。


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