カッパァ華
大事なものが消えていく恐怖を、秀樹は幼少期に体験し、２度とその苦しみを味わいたくないという想いが強かったのだ。



秀樹の周りの友達は、当たり前なように両親がおり、当たり前なように自宅に戻れば、温かい料理が待っている。



しかし秀樹は、そういった家庭を幼少期に失った反動から、自分の前から大切なものが２度と離れていかないようにとの想いが、人一倍強くなっていた。



それは、悲しさを味わいたくないという逃避の人格を作ってしまったのかもしれない。


しかし、秀樹が幼くして経験した別れは、秀樹の人格を優しくしていたのも事実だった。


現にその優しさが父親やゆいたちを笑顔にも変えていたのだから。





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