カッパァ華

「えー！　お別れ会もできないやん……
急すぎるわぁ……」



「ほんまやぁ！　行くなよ！　秀樹！」



「秀樹くん。どこにいっちゃうの？
寂しくなるよ……もっと一緒に遊びたかったのに……」



生徒が一様に、秀樹がいなくなることに淋しくなる思いを話し合っていたのだ。



とおると武志が、秀樹に近付いてきていた。



とおるが先に泣きながら話しかけた。



「秀くん、引っ越すんか……俺もっともっと秀くんと、遊びたいわ……
俺、ほんまはビビりやから、次に会えるときはもっと強くなっとくから……
俺のこと忘れんといて……」



「あぁ……忘れへんわ。とおるまた遊ぼうな……」



横では、武志がボロボロに泣き崩れていたのだ。



「武志、お前はまた泣いてんか。
おばちゃんに、ちくるなよな……
元気でな……武志も。」



「秀くんもな……」



そのあと、秀樹は、そのまま教室で自分の荷物を後片付けをし、静かに帰宅についていた。



「帰ってきたか、秀樹。
引っ越しの準備をしたら、河童山に行こうな」



秀樹は黙って頷き、部屋の本等を段ボールに詰めて行った。



その時に秀樹がよく見ていた河童が載っている本を手にし、悔しい表情を浮かべながら想い出を振り返っていたのだ。