カッパァ華
秀樹が引っ越し準備をしていると、玄関のチャイムが鳴っていた。



政吉が玄関を開けると、涙するゆいの姿がそこにはあった。



「ゆいちゃん。聞いたんだね。
秀樹は部屋にいるから、行ってあげてな」



「はい……」



ゆいは、秀樹の部屋に入り、ゆっくりとした口調で話しかけていた。



「どうして……どうして、秀樹くん引っ越しちゃうの……
やだよ……寂しいよ……」



「ゆいちゃん……俺も寂しい……
でも、おとんの仕事の関係でどうしても行かないとダメみたいで……」



「でも……秀くんとこうやって仲良くなれたのに、やっぱり寂しい……」



「俺、向こう行ったらすぐに手紙送るから。だから……俺の事を忘れないで……」



「忘れるわけないよ! 必ず手紙送ってね! 約束だよ!」



「部屋片付けたら、最後に河童山に行くんだ。おとんと……
ゆいちゃんも一緒に行ってほしい」



「行くよ! 一緒に行こう!」



部屋の片付けをゆいも手伝い、3人は夕方近くに河童山へと向かっていた。




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