カッパァ華
夕方まで汗だくで遊び回り、秀樹は自宅に帰って父親とお風呂に入っていた。
これも山井家では、ごく自然な日常のヒトコマだ。
「なぁ、盆終わったら虫取り行こな」
「あぁ」
普段から言葉少な目な父親だったが、秀樹はいつも優しい父親が好きだった。
片親となってしまったが、寂しい思いをしないようにと、秀樹を愛情深く政吉は育てたのだ。
「じゃあ、先にあがるわ。のぼせたー」
秀樹は寝巻きに着替え、自分の部屋で明日は何して遊ぶか考えるのも毎度の光景だ。
野球かぁ……明日はもういいなぁ。
やっぱり探検とかがおもろいんよなぁ。
また武志とか誘うか!
明日の遊びも決めて、そのまま秀樹は眠りについていた。
そして翌日もまた、近所の友達を誘いに秀樹は向かっていたのだ。
「たーけーしくーん、あっそぼー!」
「秀くん! すぐ行くわー」
それは、毎度の光景でもある。
仲の良い3人でいつも遊び、夕方になれば帰る。
それは3人にとって自然な日常でもあったのだ。
「秀くん、今日は何する?」
とおるが、ワクワクした表情で話しかけていた。
「今日は、山に探検へ行こうや!」
「おー! 武志も行くやろ?」
「わかった……」
小心者の武志はあまりそういうのには、
乗り気ではなかったが、毎回しぶしぶ着いてくるのがお決まりでもある。
「じゃあ、行こかぁ!」
秀樹の合図で、早速木々が生い茂る場所を目指して向かう3人。
30分ほど自転車を漕ぎ、やっと山の入口までたどり着いた頃、秀樹は二人を励ましていた。
「こっからが、登りやからなぁ、頑張ろなぁ!」
3人とも必死の形相で山道を力一杯、ペダルを踏み込む姿があった。
目的の場所に着くと自転車を脇に止め、秀樹を先頭に獣道へと、ズカズカと入って行く。
「盆やから殺生はあかんでぇ!」
「なんであかんの?」
「わからん。おとんが言ってたわ!」
3人は、誰もいるはずもない山奥で走り回り、汗でTシャツを染めながら遊んでいた。
しかし、出発したのが遅かったのと、光が差し込みにくい山奥というのもあり、すぐに周りは暗くなってきていたのだ。
「あかんわ。もう暗くて見えんくなってきたし、帰ろか!」
「そうしよ!」
こういった時だけは、武志の返事は早かった。
武志にとって、暗さはかなりの恐怖だったのだろう。
3人が集まり帰る準備をしている時、
何かが走り、草がざわめいた音が聞こえてきた。
一番に顔色を変えたのは、やはり武志だ。
泣きそうな顔をし、早く帰ろうと言い出していたのだ。
こんな誰もこない山奥で自分たち以外の動くものに、とおるも怖さを感じていたに違いない。
例えそれが、小動物のリス等だったとしても、この暗さが恐怖を増していただろう。
行きとは違い帰りは武志が、我先にと先頭になり足早に戻って行っていたが、
その時、秀樹はさっき音が聞こえてきた方向をジッ見つめていた。
なにかまた、動いた気配がしたのだ。
その頃、辺りは完全に陽が当たらなくなっており、秀樹は目を凝らしてずっとその方向を見ていた。
その草むらの隙間からは、2つの光が秀樹を見つめていたのだ。
さすがにこれはまずいと思ったのか、
秀樹も足早に自転車を止めてある場所まで移動していた。
これも山井家では、ごく自然な日常のヒトコマだ。
「なぁ、盆終わったら虫取り行こな」
「あぁ」
普段から言葉少な目な父親だったが、秀樹はいつも優しい父親が好きだった。
片親となってしまったが、寂しい思いをしないようにと、秀樹を愛情深く政吉は育てたのだ。
「じゃあ、先にあがるわ。のぼせたー」
秀樹は寝巻きに着替え、自分の部屋で明日は何して遊ぶか考えるのも毎度の光景だ。
野球かぁ……明日はもういいなぁ。
やっぱり探検とかがおもろいんよなぁ。
また武志とか誘うか!
明日の遊びも決めて、そのまま秀樹は眠りについていた。
そして翌日もまた、近所の友達を誘いに秀樹は向かっていたのだ。
「たーけーしくーん、あっそぼー!」
「秀くん! すぐ行くわー」
それは、毎度の光景でもある。
仲の良い3人でいつも遊び、夕方になれば帰る。
それは3人にとって自然な日常でもあったのだ。
「秀くん、今日は何する?」
とおるが、ワクワクした表情で話しかけていた。
「今日は、山に探検へ行こうや!」
「おー! 武志も行くやろ?」
「わかった……」
小心者の武志はあまりそういうのには、
乗り気ではなかったが、毎回しぶしぶ着いてくるのがお決まりでもある。
「じゃあ、行こかぁ!」
秀樹の合図で、早速木々が生い茂る場所を目指して向かう3人。
30分ほど自転車を漕ぎ、やっと山の入口までたどり着いた頃、秀樹は二人を励ましていた。
「こっからが、登りやからなぁ、頑張ろなぁ!」
3人とも必死の形相で山道を力一杯、ペダルを踏み込む姿があった。
目的の場所に着くと自転車を脇に止め、秀樹を先頭に獣道へと、ズカズカと入って行く。
「盆やから殺生はあかんでぇ!」
「なんであかんの?」
「わからん。おとんが言ってたわ!」
3人は、誰もいるはずもない山奥で走り回り、汗でTシャツを染めながら遊んでいた。
しかし、出発したのが遅かったのと、光が差し込みにくい山奥というのもあり、すぐに周りは暗くなってきていたのだ。
「あかんわ。もう暗くて見えんくなってきたし、帰ろか!」
「そうしよ!」
こういった時だけは、武志の返事は早かった。
武志にとって、暗さはかなりの恐怖だったのだろう。
3人が集まり帰る準備をしている時、
何かが走り、草がざわめいた音が聞こえてきた。
一番に顔色を変えたのは、やはり武志だ。
泣きそうな顔をし、早く帰ろうと言い出していたのだ。
こんな誰もこない山奥で自分たち以外の動くものに、とおるも怖さを感じていたに違いない。
例えそれが、小動物のリス等だったとしても、この暗さが恐怖を増していただろう。
行きとは違い帰りは武志が、我先にと先頭になり足早に戻って行っていたが、
その時、秀樹はさっき音が聞こえてきた方向をジッ見つめていた。
なにかまた、動いた気配がしたのだ。
その頃、辺りは完全に陽が当たらなくなっており、秀樹は目を凝らしてずっとその方向を見ていた。
その草むらの隙間からは、2つの光が秀樹を見つめていたのだ。
さすがにこれはまずいと思ったのか、
秀樹も足早に自転車を止めてある場所まで移動していた。