カッパァ華
翌朝、秀樹はまた大量のカエルをバケツに入れていた。



家を出る時に武志ととおるに会ったが、ゆいとの河童デートを邪魔されまいと、無言で通りすぎていた。



これは大人になっても変わらない性格になるだろう。



「おーい! ゆいちゃん! 行こっか!
今日もカエル山盛りやで!」



「…………カエル……行こう秀くん!」



二人は今日は何が起こるのかと、わくわくしながら池に到着していた。



秀樹はまたバケツをひっくり返し大量のカエルを池に、解き放った。



しばらく二人はまた昨日のように見えるのかと思い、池を眺めていたが、今回はカエルが泳ぐだけの静かな感じだった。



「……今日は食べないなぁ」



「だね……どこかで見てるのかも。
警戒してるのかなぁ」



「まぁカエルも増えたし、お腹すいたらきっと食べるからこれで安心!
おとんが昨日言ってた。
昔はもっとカッパァ多かったんだって!

でも時代がなんとかで、減ったらしいねん……
だからまた一杯食べて増やさないと!」



「秀くん、優しいね!」



「えへへ」



ゆいは、そう言う秀樹を優しく見ていた。



「じゃあ、山の中を見に行こう!
カッパァが、キュウリ畑隠してるかもしれないし!」



「…………はーい」





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