カッパァ華
二人は話すことも出来ず、ただただその生き物を見ていた。



それは幼稚園児の子供のように小さく緑色の体をし、全身は光で覆われているようにボンヤリしていた。


耳と目だけは巨大で、服を着るように甲羅を纏い、今まで図鑑で見ていた生き物とは違っていた。



「ァァァ……アアアア……」



秀樹は声にもならない声を喉から出すのがやっとだった。



「グァァァァア」



その生き物が寂しげな声で鳴く声は、静かに山中に響き渡っていた。



そして、そのまましばらく二人と一匹は見つめあい、その生き物は静かに池の方向に振り返り、ペタペタとゆっくりとした足取りで歩いて行った。



二人はまだ声にもならず、ただその後ろ姿の甲羅と小さな尻尾を見るしか出来なかったのだ。



[チャプン……]



池の水が静かに聞こえると、二人はやっとお互いに話し出していた。
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