カッパァ華
「河童様もな、人間を敵対視してな、純粋な心を持った子供の前にしか姿は見せなくなっていったらしいな。
それもたまにだけな。
だから、お父さんの子供のころには、あまり見る機会はなくなっていってたわ」



政吉は話を続けていた。



「でもそれもな、お前が経験したように河童様から目の前に現れるのは、ほんと稀な話でな。
なにかお前に話したい事があるのかもしれんな」



「俺にか? なんだろー?」



「さぁな。それはわからんがな」



「俺、カッパァ好きやで!
俺にご飯をな!心配してくれたしな!
投げてきてな!
まぁ食べれないカエルやったけど……」



「ん? 何が言いたいんや。
まぁいいわ。

とりあえずお前はあの山には行くのはいいが、暗くなる前には帰れよ。
山には色々な獣がおるんやからな」



「分かった! じゃあ明日もまた行ってくるわ!」



「あぁ。気をつけてな」


秀樹は部屋に戻り、河童の姿をノートに色鉛筆で書いていた。


その頃、居間では父親の政吉が呟いていた。



「あの卵は、あのときの河童様の子なのだろうか………」





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