カッパァ華
「こんなんいつも見る卵とちゃうで!
でかいしなんやこれー!」



秀樹は興奮気味に叫んでいた。



そこには、通常のサイズとは違った巨大な卵が割れ、2つになっている様が目に飛び込んで来ていた。



「でっかいなぁ! 何の卵やこれ?」



その声に反応し、恐々と武志も秀樹の後ろから黙って覗いている。



「何だろう。でもでかいよな! 秀くんのおっちゃんに、また聞いてみてや!」



「おー! おとん何でも知ってるから、聞いてみとくわ!
でもほんま何やろなぁ……
恐竜とかやったら。すごいよな!」



「そんなんおったら、熊より怖いわ……」



ぼそぼそと武志が口を開いていた。



「なんか言ったか? 武志?」



「なんでもない……もう探し物は見つかったんやし帰ろうやぁ……」



「アホか! 俺らわざわざこんな山奥に卵探しに来たわけちゃうやろ!」



確かにごもっともな反論だった。




「おーい! 秀くん! ここにもあるわぁ!」



辺りを見ていたとおるがまた見つけて叫んでいた。



「ほんまやぁ! これもさっきのと同じやなぁ! すげー!
でもこれも、中身なんも入ってへんな。
何が出てきたんやろ?」



その言葉に完全に恐怖を覚えてしまった武志は、泣き叫びながら、秀樹にお願いをしていた。



「たのむわ……帰ろうやぁ!
今日は帰ろうやぁ!
どうすんねん! 熊が何匹も何匹も出てきたら!
食われるやんか!」



「こいつアホや! 熊は卵からとちゃうやろ!」



しかしその日は、武志の願いを聞いて帰りにつくことになる。



それは、また武志の母親に怒られると思った秀樹の直感だった。





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