カッパァ華
「ウゥゥゥゥゥ……ウゥゥゥゥゥ」
「ウゥゥゥゥゥ……」



低い唸り声を発しながら、野良犬は秀樹に飛び掛かりそうな体制を取っていた。



秀樹は恐怖のあまり、ジリジリと後退していたが、木の根っ子に足を取られ尻餅をついてしまっていた。



「来るな……どっか……行……けや」



か細い声で秀樹が声を発した途端、その野良犬が秀樹に目掛けて飛びかかってきた。



目をつぶり、怖さに震えた様子の秀樹だったが、しばらくしても体には何も当たってはいなかった。



秀樹が恐る恐る目を開けると、目の前には横になった姿の野良犬が見えてきた。



「え……なんで……」



そしてその真横には河童が立っていた。




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