カッパァ華
さっきの場所に秀樹が戻ると、野良犬はノソノソと起き上がりかけているところだった。



しばらく気を失っていたのだろう。



「ヤバイ……また襲って来るのか……
どうしよう……」



秀樹がそう呟き、野良犬の方向へ目をやると、逃げるように野良犬は姿を消していった。




「あ……逃げた……良かったぁ……
カッパァにビビったんやな、あの犬!
にしても、カッパァって、強いなぁ……
俺よりだいぶ背は、ちっこいのになぁ。
俺も負けてられないや……」



秀樹はそう言いながら、辺りに何もいないのを確認してから、倒木にゆっくりとした動きで腰を下ろしていた。


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