四月の魚 〜溺れる恋心〜【短編】
ちなみに、彼はハーフに見えるだけで100%純粋な日本人だ。
どういうDNAが組み合わされば、日本人の親からこんな容姿の男が生まれるんだ。
ちくしょう、羨ましいぜ。
あたしはさっき聞こえたことを受け入れたくなくて、思考が現実逃避しかけた。
でも、彼の笑顔を見ると現実に引き戻される。
「あ…あの…」
これはエイプリルフールの嘘。
告白なんて嘘なの、ごめんと笑いながら言って、笑い話にしてしまわなくては。
そう思うのに、優しいまなざしに言葉が浮かんでこなかった。
何がどうしたって言うのだろう。
嘘というからには、もちろん、彼のことを好きではない。
笑い話にはできなくても、
エイプリルフールの嘘とは言えなくても、
あたしは彼に振られ、それで終わる予定だったのに。
OKされるなんて想定外すぎて、どうしたらいいかわからない。