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episode 2
《晴夏》
今日は日曜日。
天気も良いし、特に予定も入ってないからお気に入りのブックカフェに来た。
ここは、休日でも静かに過ごせて嫌なことを忘れるのには最適の場所。
そこで、美味しいミルクティを頼んで星座の本を読んでいた。
「篠崎さん……?」
うっそ……。
「市川くん……。なんでここに?」
そこには、このカフェの制服を着た市川くんがトレー片手に立っていた。
「なんでって……ここ、俺んちの店なんですよ。高校生になったから、店の手伝いしていいって……。」
なんで、よりによって……。
「ふぅ、お友達?」
市川くんを"ふぅ"と呼び、彼の後ろから顔を出したのは、この店を1人で切り盛りする、亜実(Ami)さん。
「あれ? はるちゃん! ふぅと友達だったの?」
「……えぇ、まあ。」
私があまりにもよく来るから、亜実さんとは仲良くしてもらっていた。
「母ちゃん、篠崎さん困ってるでしょ。ごめんなさい、篠崎さん。」
少し眉を下げて微笑む姿はナミそっくり。
市川くんは、ナミじゃないのに……。
あ、だめだ……涙が出てきた。
「母ちゃん、パン焼きっぱだったんじゃないの?」
「あ! 忘れてた! ありがと、ふぅ。」
亜実さんは、厨房に駆け込んでいった。
「大丈夫ですか、篠崎さん。」
私の向かいのイスに腰掛けた市川くんが話かけてきた。
「……っごめんなさい。」
「母ちゃん、当分戻ってこないから。」
そう言って、私の背中をさすってくれた。
市川くんのあったかい手に誘われて涙がボロボロと流れた。
私が泣き止むまで、市川くんは優しく背中をさすってくれた。