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旧校舎はなんとも不気味な雰囲気を醸し出していた。



……ぜってえなんか出てくるって。



俺は使ってなさそうな教室に入った。



まだ泣きじゃくっている彼女をイスに座らせて、持ってきていたタオルとペットボトルの水を渡した。



それをごくごく飲んで落ち着いたのか、涙は引っ込んだようだ。



「え……っと、俺は市川歩実。今日から高1なんだけど、あの……。」

「……私は、篠崎晴夏(Shinozaki Haruka)。さっきは、取り乱しちゃってごめんなさい。」

「し、篠崎さん? 俺、入学式あるから行きますね。じゃあ、落ち着いたらちゃんと教室行ってください。」

「うん、迷惑かけてごめんなさい。」

「いえ、大丈夫です。では。」



急いで旧校舎から本校舎に戻っていたら、チャイムがなってしまった。



やっべ! 遅刻!!



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