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やっとのことで教室まで辿り着くとまだホームルームは始まってないみたいだ。



……なんか、じろじろ見られてる?



黒板に張ってある座席表を見て、自分の席に着く。



……やっぱり落ち着かない、めっちゃ視線感じる……。



「ねぇ、お前泣いてる女の子連れてたヤツだよな?」

「はぁ?!」



いきなり、後ろの席のヤツが話しかけてきた。



失礼極まりないヤツだな。



「やっぱりそうじゃん! やるねぇ!」

「いや、違うんだって……。」



それから、俺は今日の朝の一部始終を後ろの席のヤツに話した。



「へぇ、大変だね。」



え、あんな興味深々に聞いてきた割に……テキトーじゃない?



「あ、俺 一橋翔(Ichihashi Kakeru)。お前は?」



あ、しゃべるきっかけがほしかったのか。



「市川歩実。よろしくな。」



それから、体育館に出て入学式。



偉い人の長いつまらない話を聞いて終わり。



それからは教室に戻って明日からの予定を聞いて終わり。



なんとも味気ない……。


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