先生×私Ⅱ~隣の部屋の王子様~
「……で、朝日。」
「はい…………。」
「ちょっと第一会議室に来なさい。」
「はい……。」
職員室の奥にある会議室に連れていかれる。
「そこ座って。」
椅子に座ると私の白紙の調査書が差し出される。
「朝日……。
将来について何も浮かばないのか?」
こーゆーとき。
啓太は先生モード。
「…………。」
「朝日?」
「ゆ、夢って言えるのか……わからなくて……。」
「ん?」
「バドミントン続けたい気持ちもあります。……でもその気持ちもなんかピンときてなくて……」
「……朝日。……勉強できるから何でも目指せると思うよ?」
「………………。」
「やりたいことホントはあるんだろ?」
ドキッ……
お母さんが死んだとき……
お母さんを自分が助けられたらって本気で思った。
だからきっと
わたしは…………。
「なりたいものがあんだろ?挑戦してみたいことが。」
私は静かに頷いた。
「だったら、それに向かって頑張りなさい。朝日なら、なれるよ。」
「せ、先生……。」
「医者になったらおれが具合悪くなったら看てな?笑」
なんでなんだろうね。
なんでいつも
私のことを私以上にわかってるんだろう。
「進路調査はわかるとこだけでいいから書いて?大学とかはまだいいから。」
「はい。」
「まぁ、個人的には卒業したら……け」
「ん?」
「いや、まぁいい。じゃ、そーゆーことで!」
「はい。」
そう言って会議室を出る。
現実を見なければいけないんだ。
もう、受験生なんだもんね。