一人の狼
プロローグ
今日は満月


だからといって見れるわけではない


季節が冬へと変わったこの辺りは、本来見ることができる草木でさえ雪で覆い尽くす


どこを見ても面白みのない白一色の世界だ




外の音が段々消えていく


吹雪は治まっただろうか


風避けに使っていた洞穴を出て、様子を見た



吹雪はまだ吹いている


たださっきまでよりかはマシだということは確かだ




……寒い



洞穴の方を振り向き、中にいる仲間を促す


出かけるぞ、と



立ち上がりつつある仲間を確認すると、洞穴の入口から数歩移動する


そして空を見上げた


やはり、白以外は見えない




わかっていても、やっぱり残念な気持ちにはなるものだ
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