MIND ART
そのうち夜になった。町は静まり返ったままだった。気が付くと公園のベンチで寝ていた。朝が来たようだ
「いつになったら元に戻るの?夢から覚めるの?」
絶望的な気分だった。これを夢だと信じることが、唯一の希望だった。ぼーっとベンチに座っていると誰かが話しかけてきた。
「ねぇ、君」
私は声のするほうを見た。一瞬、自分の身に起こっている全てのことを忘れた。私に話しかけてきたのは
20代前半、180センチはあるだろう長身でがっちりした男だった。デカイのに目は少年のように澄んでいて……
いや、そんなことはどうでもいい。問題はその男の服装だった。
赤とピンクを基調にしたチェックの袖のTシャツ。
大きな歯車の絵が描かれている。男なのに、青いレース付きのスカート。緑と紫のボーダーの靴下。
黄色いスカーフ。小さいブーツ。持っているバッグも変だった。赤紫の丸いポシェットに、灰色のふた(?)のようなものがついているバッグの周りには黄色い玉のようなものがたくさんついていて、そこだけ見るとパチンコ店の看板みたいだ私はその人のことを口をあけたまましばらく眺めていた。この人が、私が逃げている全く同じ髪型、服装、無表情の人でなくてよかったと思う。でも、まともな服を着ていたら、この100倍は安心していただろう……とにかく……
「いつになったら元に戻るの?夢から覚めるの?」
絶望的な気分だった。これを夢だと信じることが、唯一の希望だった。ぼーっとベンチに座っていると誰かが話しかけてきた。
「ねぇ、君」
私は声のするほうを見た。一瞬、自分の身に起こっている全てのことを忘れた。私に話しかけてきたのは
20代前半、180センチはあるだろう長身でがっちりした男だった。デカイのに目は少年のように澄んでいて……
いや、そんなことはどうでもいい。問題はその男の服装だった。
赤とピンクを基調にしたチェックの袖のTシャツ。
大きな歯車の絵が描かれている。男なのに、青いレース付きのスカート。緑と紫のボーダーの靴下。
黄色いスカーフ。小さいブーツ。持っているバッグも変だった。赤紫の丸いポシェットに、灰色のふた(?)のようなものがついているバッグの周りには黄色い玉のようなものがたくさんついていて、そこだけ見るとパチンコ店の看板みたいだ私はその人のことを口をあけたまましばらく眺めていた。この人が、私が逃げている全く同じ髪型、服装、無表情の人でなくてよかったと思う。でも、まともな服を着ていたら、この100倍は安心していただろう……とにかく……