空とシャボンとさくらんぼ
「わっ………」
「…………」
ぼふん、と顔が当たる。
はっ、鼻が……!
思わずしゃがみこむ。
いや、地味に痛かったんだよ。
鼻血とか出てないよね?
そんなことを思っているあたしとは違い、周りはなんだかざわめいている。
「あ……」
何?と思い、顔を上げてみるとそこには桜坂くんがいた。
「お…さか、くん……」
さ、最悪だ……
お礼したいとかいいながら、また迷惑をかけてしまった。
しばらくあたしを見つめて、桜坂くんは自分の席にいった。
「ちょっと、アイ大丈夫?」
「う、うん…平気」
「ほんと?」
心配する真琴に大丈夫だと言っていると、先生が教室に来たのであたしも自分の席に戻る。
ぼーっと先生の話を聞きながら、思うのはさっきのこと。
さっきの……明らかにあたしのが悪い。
だって扉の近くにいたらぶつかっちゃうのは当たり前だもん。
すぐ、謝ればよかった。
後悔が心を占める。
……お昼休み、ちゃんと謝ろう。
そう決意して、あたしは授業を受けた。
真面目に授業を受けたせいか、今日は時間の流れが速く感じた。
あと一時間……あと一時間でお昼休みだ。
ふぅ、と息を吐くとたまたま桜坂くんが席を立つのが見えた。
また、屋上に行くのかな。
自然と目が桜坂くんにいく。
「アイ?」
「え?な、何?」
真琴の声に思わずビクリとする。
今の、見られてた……?
だとしたらものすごく恥ずかしい。
「どうしたのよ?」
「べ、別に」
ぶんぶんと頭を振るあたしを、真琴は不思議そうに見る。
よ、よかった……ばれてない。
ていうか、なんでそんなにばれたくないんだろう。
………まぁいっか。