空とシャボンとさくらんぼ



そうだよね……あたしが悪いよね。


でも集中できないものはできないんだよ。


授業も何言ってるか分からないし。


大丈夫かあたし。


一応受験生なんだけどな……


机に唸りながら突っ伏していると、真琴に冷ややかな目線を向けられる。



さすがだけど、今そのドライな感じはあたしの心に多大なダメージを与えるよ。



「真琴さん…いや、真琴先生。あたしに何か知恵を……」


「知恵を与えるほどのことはないと思うけど」



た、確かに……



「しゅ、集中するコツとか……」


「頑張るしかないんじゃない?」


「チョークを受けずに済む方法……」


「まず授業をちゃんと受けていればチョークは飛んでこないと思うけど」


「…………」



正論すぎて言い返せない。


いや、でも、とあたしは言い返す言葉を探すけど……うん。ない。


それでも諦めずに頭を使っていると先生が来た。


あたしの悩み(?)まだ解決してないのに!



「頑張りなさい」


「真琴ぉ……」



うるうると上目使いで真琴を見る。


真琴はなんだかんだ言って優しいから、こうすればきっと……



「…………」


「……すみませんちゃんと頑張ります」



絶対零度の視線が返ってきました。


うぅ……いいよ、もう諦めるよ。


再び机に突っ伏して泣き真似をしていると、上からため息が聞こえた。



「はぁ……そんなに痛いのが嫌なら避ければいいんじゃないの」


「へ?」



聞き返す暇もなく、真琴は自分の席に戻っていった。


そして普通に始まる授業。



………避ける、か。


そうだよね、なんで思いつかなかったんだろう。


先生の視線を少し感じながらもさっきの真琴の言葉を反芻する。



……よし!


今度のチョークは絶対に避けてやる。





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