空とシャボンとさくらんぼ
そういえば屋上向かってるけど、確か鍵がかかっているはずじゃ……
でもそれならシャボン玉なんか浮かぶはずないし……
んー……まぁ、言ってみれば分かるよね?
よく真琴にはこういうところを直しなさいって言われる。
つまり……考えなしなところ?
自分でも直さないと、とは思うものの……こればっかりはどうにかなるものじゃないもん。
早い段階で諦めているあたし。
これもあたしの悪いところなのかな?
「ま、いっか!」
考えても仕方ないし。
「はぁ、やっと着いたぁ……」
階段をあがること約五分。
つ、疲れた……
夏だから余計に体力奪われるし……
「これで開いてなかったらあたし泣くかも」
少しドキドキしながら屋上へつづく扉に手をかける。
軽く引くと小さな音をたてて扉は開いた。
そっと隙間から外を見てみる。
……誰もいない。
「なーんだ、シャボン玉の人いないや」
がっかりだ……
帰ろうかな、と思ったけどせっかく来たんだし、まだ補習が始まるまで時間はあるはずだし……
あたしはそぉっと扉を開いた。
「わ……すっごーい!!」
隙間からだと見えなかったけど、上には綺麗な青空が広がっていた。
教室で見るよりもずっと近くに空を感じるなぁ。
びゅうっと爽やかな風があたしの体を通った。
「すごーい!涼しー!気持ちいー!!」
青空の綺麗さに感動して、あたしは上ばかり見てたので下に注意がいってなかった。
一歩、屋上に足を踏み入れる。
『ぎゅむっ』
………ん?
………なにか、音が……
恐る恐る下を見ると、そこには綺麗な手を踏んだあたしの足が………
手をたどってそろそろと目線を上げる。
「あ……」
「…………」
そこには壁に背中を預けて座っている男子がいて、思いっきり目があった。
ぎ、ぎゃあぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!
しっ、知ってる!!
この人同じクラスの人だ!!