空とシャボンとさくらんぼ
ポタポタと、今度は本物の雨も降ってきた。
………あたし、今分かった。
あたし……桜坂くんに、恋してたんだ。
だから、桜坂くんの言葉にこんなにショック受けて……
拒絶、されたみたいで、悲しくて、辛くて、苦しくて……
こんなに、胸が痛くなるんだ。
「ふっ、うぅ……お、さか…くっ……ふぇ………」
今さら気づいたって、あたしはもう、桜坂くんに嫌われちゃったんだ。
もう……この恋は叶わないんだ………
雨も、あたしから流れる涙も止まらなくて、ずぶ濡れになりながら、あたしは屋上で泣いていた。
しばらくして聞こえたカチャ、という微かな音に振り向くと、そこには……
「ま、こと……」
驚いた顔をした真琴がそこにいた。
なんで、真琴がここに……?
「なんで…」
「っ、ばかアイ!!」
びくぅっ、と肩が揺れる。
「何してんのよ!!こんな雨の中で…」
「え、と……」
雨も気にせずに真琴はあたしの方へ歩いてくる。
「午後の授業まるまるサボって、どれだけ心配したと……って、何!?」
「まことぉっ……」
あたしはいつもと変わらない真琴にどうしようもなく安心して、自分がずぶ濡れだとか、真琴も濡れてるとか関係なく真琴に抱きついた。
「真琴……っ」
「アイ…?」
何かを感じたのか、真琴は何も言わずにあたしを抱きしめてくれた。
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「はい」
「ありがと……」
どういたしまして、と言って真琴はベッドに座った。
あのあと、ずぶ濡れで目が真っ赤なあたしを心配して、真琴が自分の家に泊まったら、と提案してくれたので、お言葉に甘えることにした。
一人でいるには苦しくて、真琴にそばにいてほしかった。