空とシャボンとさくらんぼ



「ちょっとは落ちついた?」


「うん……」



もらったココアを飲みながら、あたしはぼんやりと返事を返す。



「アイの家には、もう連絡してあるから」


「うん……ありがとね、真琴」


「お礼はさっき聞いたわ」


「そうだね」



ふふっ、と少し笑うと真琴も安心したように笑った。



しばらくはお互い何も話さなかったけど、あたしが真琴、と声をかけると、何、と返してくれた。



「真琴は…何も聞かないんだね」



気にならないの?と目で訊ねてみる。



「そうね……気にはなってるけど、アイが話したくないなら話さなくてもいい。
でも……わたしだって、アイの力になりたいとは思ってるから。それは忘れないでね」


「真琴ぉ……」



じわりと滲む視界に、真琴の呆れたような顔が映った。



「あ、のね……真琴…あたし……」



それからポツリポツリと、あたしは桜坂くんのことや自分の気持ちを真琴に話した。


途中からはもう泣きながらだったから、自分でも支離滅裂なことを話している自覚があったけど、それでも真琴は黙って聞いてくれた。



「……あたし、好きなの。桜坂くんのこと、好きなのぉ……
でも、あたし、もう、関わるなって……
あたし、嫌われちゃったのかなぁ」



ふえぇ、と本格的に泣き始めると真琴はあたしを抱きしめてくれた。


ぽんぽんと背中に感じる温もりに安心する。



「ん、ありがと……」


「大丈夫?」


「ん……」



ずず、と鼻を啜ると真琴がティッシュを差し出してくれたので遠慮なく使わせてもらう。



「アイ……」


「うん?」



真琴を見ると、どこか複雑そうな顔をしていた。



「真琴……?」


「ねぇ、あくまでわたしの考えなんだけど……それって桜坂の本音じゃないんじゃない?」


「え…?」



どういうこと?




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