平凡少女と勘違い王子
私がそんな事を考えていると、「じゃ、じゃあ!」と言いながら田所くんがこちらに手を差し出してきた。
「せめて、俺と友達になってくれ!そ、その……こんな後だからちょっと嫌かもしれねぇけど」
そう言いながら、深々とこちらへ頭を下げる田所くん。
差しのべられた手は、心なしか少し震えている。
少しのあいだ、その手をじっと見た私は――
「はい、よろしくお願いします」
そう言って、その手を取った。
「……え?」
「いや、なに意外そうな顔してるんですか。
付き合うってのは無理でも、別に友達になるのは問題ないでしょう?」
ね?という意味を込めて握手したままの手を一瞬だけ強く握り返すと――
呆然といった表情をしていた彼は、背後に花でも咲きそうなほど眩しい笑顔をこちらへ向けた。
そしてそのまま、私の腕を引いて抱きしめてきて……ってオイコラ、いったい何をするんだ!