平凡少女と勘違い王子
「ちょ、ちょっと田所くん!?友達になるとは言ったけど抱き着いていいとは言ってないよ!?」
「い、いや、ちょっと嬉しすぎてつい……」
「嬉しいのは分かるけど抱き着かないで、平凡な私にはイケメン耐性なんて無いんだからね!怒るよ!?」
「こんな恥ずかしい勘違いで好きになって、しかもありえない告白までしちゃったんだぞ!?もう何も怖くない!」
「……それもそうか」
思わず納得しかけて、いやそれとこれとは別だろうと抗議の声を上げようとした瞬間
私の視界に田所くんの顔が映りこんだ。
そして、その強い瞳に、思わず私は声を飲み込んでしまう。
「……渡辺さん、覚えとけよ?
勘違いから始まった恋だけど、俺は絶対に諦めるつもりねぇからな!」
そう言って、すこし恥ずかしそうにはにかむ田所くん。
それを見た私は、一つ頷いてからニッコリと笑って口を開いた。