平凡少女と勘違い王子
――つまり、整理するとこういうことなのだろう。
彼は熱っぽく見つめてくる私の視線に気付いてこちらが気になり始め、きっと両思いだと告白に踏み切った。
しかしいざ告白?をしてみれば、私が見つめていた相手は隣の隣の席に座る田所くんではなく、
一つ隣の成瀬くんだった事が判明した、と。
……辛すぎるだろう、これ。改めて考えると私なんかよりもよっぽど恥ずかしいよ。
これはもうフォロー不可だな、と他人事のように考えて現実逃避していると、
どうにか立ち直ったらしい田所くんが顔を上げた。
「えと、その……とりあえず、渡辺さんが好きなのは成瀬、ってことで合ってるのか?」
「え、うん。まぁ一週間前にフラれたけど」
「えっ、フラれた!?」
私の言葉を聞いて、田所くんの瞳がギラリと輝いた。
反対に私は、目を少し細めると食い気味に彼の言葉を返す。
「じゃ、じゃあ、もし良ければ俺と「このタイミングで『付き合え』って言ったら怒るよ、私」」
私はそう言うと、田所くんを見つめる目にグッと力を込めた。