彼の秘密と彼女の秘密


目が覚めると目の前に凛がいた。

「大丈夫ですか?」

「うん。誰が運んでくれたの?」

「僕ですよ」

「みみみみ見たの!?」

「しょうがないじゃないですか。他の人に見せたくありませんからね。
でもどうして何も持たずにお風呂に行ったのですか?」

「持って行ったの。バスタオルも新しい浴衣も...凛がくれた大事な根付もみんななくなってしまったの」

「そうですか。申し訳ありませんでした」

「どうして凛が謝るの?」

「僕の家の不義ですもの。僕が必ず根付を見つけます。
明日は嵐も浴衣を買いに行くと言っていましたから、一緒に行きましょう。
瑠璃も浴衣と着物を買わなくてはいけなくなってしまいましたからね」

「私...浴衣着てない...」

「今頃気づいたのですか。僕がずっと温めていたんですよ。
すごい冷たくなっていましたからね」

「....ありがとう」


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