彼の秘密と彼女の秘密
凛は正眼。
上段と下段の中間に構えるこお構えは、攻守にバランスがいい。
剣術を修める際には基礎となる構えだ。
瑠璃はいくら身長が高いとはいえ、男の凛には小さく、
凛には上背があるので、面に気をつけなくてはならない。
判断し、上段に構える。
普段なら攻撃に明るい上段も、相手が自分より上背があるときには
面を防ぐのに有効な構えなのだ。
(ほぅ。おもろくなりそうやないの)
審判の嵐も楽しそうだ。
睨み合う事数秒、凛が鋭い踏み込みとともにこちらに打ち掛かる。
凛が狙うのは瑠璃の小手だが、それに難なく反応してこちらは受けた。
しかし凛より小柄な瑠璃には、上から振り下ろされる凛の竹刀を受けるのも一苦労である。
「う....」
凛は瑠璃が眉をひそめたのを見逃さずに、竹刀を目一杯振り上げて瑠璃の面を狙って振り下ろす。
「面ーー!!」
気合と力のこもった凛の大上段からの面をなんとか受けるが、
瑠璃は竹刀を弾かれそうになる。
小手からの面、面からの胴、と縦横無尽に振るわれる相手の竹刀を瑠璃はなんとか受けていた。
(...力じゃ敵わない...)
竹刀がぶつかる音が何度響いても、凛の猛攻は衰える事を知らずに、一層激しさを増してくる。
「凛のヤツ本気になりやがって...瑠璃ちゃんも強いこと強いこと。
俺らは強くて当たり前でなくてはならんが、瑠璃ちゃんは女の子やのに...」