彼の秘密と彼女の秘密
大広間に凛と嵐だけになり、瑠璃の足音が聞こえなくなると
「では、入ってきてもらいましょう」
「失礼します」
入ってきたのは、23か24位の可愛らしい女の子だった。
「どうして呼ばれたのかわかりますか?」
「はい。申し訳ございません」
「謝れとは言っていません」
「はい。先日瑠璃様がお風呂へ入った隙にバスタオルや新しい浴衣、
着ていたお着物、根付まで隠しました」
「どうしてそのような事をしたのですか。僕にとって家族と同じです」
(おいおい。凛は天然か?)
「凛様の事が...ずっと好きだったのです。ですがしばらく鞍馬家へ行かれて
帰ってらっしゃったと思いましたら、瑠璃様がいらっしゃいまして...
どうしても許せなかったのです。こちらはお返しいたします」
「そうですか。瑠璃の物は返してくれてありがとう。
でも仕事と私情を混同されては困りますね。もしこれからも
公私混同されるようでしたら、辞めていただきますが」
「これからは混同しないよう、気をつけますのでどうかお許しください」
「わかりました。持ち場に戻りなさい。それと誰か瑠璃を呼んできてくれますか」