彼の秘密と彼女の秘密
「では僕の方です。僕の家は暗殺稼業が表千家です。あまり表などと言えませんけどね。
でもこれも継いでいかなければならない事なのです。
御影家へ嫁ぐ以上、産まれてくる子も必然的に幼少の頃から暗殺術を学んでいかなければ
なりません。母親として、見ていて辛い時もあるでしょう。
でもその子の為に瑠璃が我慢しなくてはいけない時があるでしょう。
それでも結婚したいと思いますか?」
「私もね、いろいろ考えてたんだ。赤ちゃんができた時からかな?凛の稼業も継がなければならない。
それは男の子でも女の子でも同じ事。でも、私の稼業も継がなくてはならない。ではどうしよう、かと。
産まれてくる子には暗殺稼業はさせる。でも、茶道、華道も継がせる。女の子なら舞踊も継がせる。
どう?」
「瑠璃がそこまで考えていてくれたとは...正直驚きました。
私の子には暗殺稼業はさせない!って泣かれると思ってましたから」
「私もなねられたもんだねぇ」
意地悪そうに瑠璃が笑う。
「僕達の子供は大変ですねぇ」
凛はちょっと困ったように笑う。
「でも、そうさせなくてはいけない状況を作ってしまう以上、僕達の責任は重大ですね。
訓練以外では優しい父と母でいたいものですね」
「2人で頑張ろうね!」
「改めて、僕の妻になってください」
「よろしくお願いします」
「さて、もうすぐ朝になってしまいますが少しでも寝ましょう。
急に体調が悪くなったら言うのですよ」
「うん。ありがとう。おやすみなさい」
「おやすみなさい」