彼の秘密と彼女の秘密
「雰囲気の優しい父上だね」
「あれでも暗殺一家の親父ですよ」
凛は笑う。
「でも私は父上好きだな」
「僕よりですか?」
「え?」
「僕より父上の方が好きなんですか」
「好きのレベルが違うよ。そもそも比べられないよ。
あ。凛。手紙の最後に書いてあった事、言って」
「瑠璃、愛してますよ。この世でただ一人愛してますよ」
涙がぼろぼろでてくる。
「ありがとう..」
「瑠璃は僕にだけ言わせるんですか」
「私も凛を世界でただ一人愛してるよ」
凛が肩を抱いてくれる。
「凛は赤ちゃんにもヤキモチ妬きそうだね」
「それは...言えてるかもしれないですね...」
「困った父上ですねぇ」
お腹の子に話かける。
「冷えてきましたから、部屋に入りましょうか」