彼の秘密と彼女の秘密
凛を一瞥してもその顔には余裕すら見える。
凛が何を考えてるのかわからない瑠璃はただただ感心するばかりである。
お互い表情が顔に出ないたちなのか真顔で攻防を繰り広げていた。
凛が瑠璃の喉を突こうとすれば、瑠璃は素早く首を傾げて回避し、
瑠璃が肩に打ち込もうとすれば、凛が竹刀で受け止める。
「…凄い」
桐谷は思わず感嘆の声を上げてしまう。
瑠璃はもう、どのくらい時間が経っているのか分からなくなっていた。
そのうちに凛の息が上がってきてしまい、対する瑠璃の呼吸は乱れていない。
もうすぐ勝負はつきそうだった。
勝機が見えた瑠璃は凛の鳩尾を薙ぐように竹刀を叩き込む。
勿論寸止めするつもりだ。
しかしその刹那、瑠璃の目つきが変わった。