彼の秘密と彼女の秘密


___瑠璃___

仕事から帰ると、知らない女の子が客間で寝ていた。
凛から説明を受ける。

「記憶喪失...?」

「はい。まだ目が覚めてみないとはっきりわかりませんが」

「あの子大丈夫かな...」

「目が覚めたら話相手になってあげてもらえます?
それと、目が覚めたらしばらく稽古は中止しましょう。
相手がどこの誰かはっきりわかるまではこちらも隠さなくては」

「そうだね。でも、いつ目が覚めるのかな?
お医者様の話だと、すぐ目が覚めるはずだったのでしょう?
一度大きな病院で診てもらっては??」

「それも考えたのですが、身元がわからない以上、
こちらもそう、簡単に動くわけにはいきませんので...」

こちらが暗殺稼業をしている以上、変に疑われては困るのだ。

「早く目を覚ますといいよね...」

その夜は斎藤と桐谷に交代で見張りをしてもらい、
早めに布団に入った。
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