彼の秘密と彼女の秘密
翌日、念の為、稽古は中止にした。
朝食が終わって、しばらく凛と嵐とお花見の
場所をどこにしようか、って悩んでいると、
斎藤がやってきて、
「お目覚めになったようです」
と言う。
急いでみんなで客間に向かう。
恐る恐る聞いてみる。
「気分はどう?」
「はい。大丈夫です。助けていただいたみたで
ありがとうございました」
「あの...お医者様が、もしかしたら記憶喪失の
可能性もあると言われていたのですが...
どうですか??」
「記憶は大丈夫のようです。私は城野 里奈といいます。
でも...」
「どうしたの?」
「行く所がないのです。両親とも殺されてしまい、
私だけが生き残ってしまったのです。
逃げて逃げてきっと気が緩んだのでしょう。
気を失ってしまったのです」