彼の秘密と彼女の秘密
___凛___
斎藤や嵐達と話していると瑠璃が入ってきた。
「今、御影と鞍馬の両方で城野というものに仕事が
あったか話し合いしていた所です。しかしどちらにも
そんな仕事はなく、第一、目撃者を出すような仕事は
僕達は一切しないのです。」
「彼女をどうします?凛様」
「しばらく置いてもらえない...?私も両親がいなく
なって悲しかったの。今、周りに誰もいなくなってしまっ
たら、里奈さん、悲しみで押しつぶされちゃうよ...」
「そうですね。瑠璃の気持ちもわかります。
では、しばらく彼女はここに置きましょう。
ただし、斎藤や桐谷、屋敷中で見張りをします。
それだけは、瑠璃、譲れません」
「瑠璃ちゃん、俺らの仕事上、こういう手口で
家の中に入り込もうとする輩も少なくないんや。
そこだけは堪忍な」
「わかった。疑いが早く晴れるといいね...」
瑠璃...
瑠璃の気持ちを考えたら、胸が苦しくなった。
彼女が間者でなければ、それだけを祈るしかなかった。
「お話中申し訳ありません。
城野様が、お食事も終わり、みなさんにお話がしたいと」
「わかりました。すぐ行きましょう」