彼の秘密と彼女の秘密


___凛___


しがみついたまま離れない瑠璃。

「すっぴんでも可愛いですよ」

「お世辞なんかいらないよ」

「僕はお世辞なんか言えません。本当に思ったから言ったんですよ」

「...ありがとう...」

「明日は何を買いに行きましょう?」

「............」

「???????」

しがみつかれたまま瑠璃は寝てしまったらしい。

布団に運んで、自分の部屋ひ戻ろうとしたら浴衣の袖を引っ張られた。
この家は寝る時だけは浴衣なのだ。

(どうしよう...)

瑠璃は一向に離してくれそうにない。
しょうがない、ここで寝ましょうか...

長いまつげ、白い肌、ふっくらとした唇。

耳についているピアスが月の光に反射して淡く光っている。

うっすらと紅に染まる頬に口付けをした。


「おやすみなさい」

僕の理性が働いている時で本当に良かったです。
凛も意識が薄れていくのを感じながら眠りについた。

< 36 / 254 >

この作品をシェア

pagetop