彼の秘密と彼女の秘密
「瑠璃ちゃんの現実逃避の理由は?」
「...15歳で両親が亡くなってしまって、毎日泣いてばかりだったの。
その時たまたまつけたテレビでモデルの特集が流れてたの。
悲しくても、辛くても、笑ってなきゃいけない。
単純だけどそれでモデルになる事にしたの。でも、私の心の中の表情とは
全く違う嘘で塗り固められた表情が街のあちこちを埋め尽くしはじめて。
どんどん東京にいるのが苦しくなってしまって。静岡に住んだのは
少し離れたかったから。でもあんまり変わらなくて。それで旅行で京都に来たの。
さすがに京都駅周辺はキツイですが、京都の街は私を苦しめるものが何もなくて...
それで京都にそのまま住んでみちゃったの」
凛も嵐も黙ってしまっている。
「でもね、京都に来て本当に良かった。凛と嵐に会えたんだもん。
最初は変なナンパにひっかかっちゃったぁ、とか思ったけどね」
「ひでぇなぁ、瑠璃ちゃん」
「僕も悲しくなりました」
「ごめん、ごめん。でもね、2人には感謝してるんだ。
今はね心から笑えてる。ありがとう」
「では、仕事に戻るのですか?」
「俺達の夕食の心配ならしなくてええからな!」
「正直、悩んでるんだ。もし凛と嵐が許してくれるならここから
通って仕事してもいい?まだしばらくは始めないけど」
「もちろん大丈夫ですよ」
「まぁ凛は瑠璃ちゃんと一緒にいたいだけやと思うけどな!イテッ...
嵐は凛に肘打ちをくらった。
「まぁまぁ俺はお邪魔虫やから退散しますよー。
仕事もせなあかんしなぁ。じゃあね、瑠璃ちゃん」
「うん、またね、嵐」