彼の秘密と彼女の秘密
その沈黙を破ったのは嵐だった。
「なぁ瑠璃ちゃん。覚醒した時って何ができるん?」
「それは僕も興味がありますね」
「それは暗殺家業として?」
「いいえ。普通に気になっているだけですよ」
「思った事ができるよ。例えば空を飛ぶ、物を壊す。人を跡形もなく消せる。
傷を癒す。予知能力。外敵からの自分を守る為に自然に起こる自分自身の保護。
燃やす、縛る、声の振動での破壊、催眠をかける。
欲しいと思った武器が身体から出るよ。怖いよね、こんな私」
瑠璃は指から綺麗に細工のされた針を出して見せた。
「そんな事ないですよ。僕の大好きな瑠璃なんですから」
「のろけは他でやってくれ。欲しい位やな、うちの稼業に」
「嵐、瑠璃は僕の物ですよ。それに裏稼業には巻き込みたくありません」
「わぁってるよ」
「僕には解せない事があるのですが、瑠璃が覚醒したら、どんな武器も
どんな手練よりも強いでしょう。資料には過去にも覚醒した者を暗殺したと
報告がありましたが、なぜでしょう?...瑠璃、僕の部下に斎藤という者がいます。
今、斎藤がその件について調べているところです。
瑠璃の周りにはたくさんの味方がいます。大丈夫ですよ」
「そうや!!俺の家もついてるからな!!」
「ありがとう。頼もしいね」