彼の秘密と彼女の秘密
瑠璃が自分の布団で寝たのを見届けると、ゆっくり起こさないように
するりと抜け出して凛は嵐の部屋に行く。
「よくよく考えたら暗殺稼業をしているのは俺らだけないやろな」
「はい。僕もその事が気がかりで斎藤に調べさせています。
それに錦家の動向は随時報告するように言ってあります」
「もし瑠璃ちゃんの覚醒がばれて他の組織に依頼されたら、
御影と鞍馬双方で守るしかないやんなぁ」
「そうですねぇ。一つ考えたのですが、みんなで東京に戻ってはどうでしょう。
瑠璃には仕事を復帰してもらい、メディアという強い媒体を味方につけるのです。
我々の事務所に移籍させても仕事は減らないでしょう。
むしろ仕事の量が増えると思いますがね」
「そうやなぁ。瑠璃のマネジャーはどうする」
「桐谷はどうです?斎藤が一番可愛がっています」
「それでいいだろう。瑠璃の給料は必要経費以外は瑠璃の給料にする。
他のヤツよりよっぽどもらえるはずやわ」
「桐谷の給料はこちらで払います。まぁ今までとは変わりませんが。
家はどうします?」
「そうやなぁ...」
「麻布にある、御影家の本邸はどうでしょう?
甘味屋もたくさんありますし」
「お前、甘味食べたいだけやろ」
「いいえ。でも瑠璃は喜ぶと思いますよ」
「いつにする?」
「早い方がいいでしょう。こちらにある大きい荷物はまたこちらに来た
時に使えばいいですし、あちらに行ってから足りない物は買えばいいでしょう」
「明日瑠璃ちゃんに話してすぐ立とう」