彼の秘密と彼女の秘密
8
久々の東京。
あいかわらず息苦しくなるけど、今は大丈夫。
凛が手を繋いでいてくれている。嵐もいる。
「瑠璃ちゃん、あいかわらずあっちにもこっちにも瑠璃ちゃんの顔ばっかりやなー」
「僕には不愉快です。僕だけのものなのに」
ふくれている凛の耳に
「でも他にいろんな事知っているのは凛だけでしょ?」
凛は顔が真っ赤になる。
「瑠璃のおバカさん。仕返ししますから覚えといてもらいましょう」
「怖いよー」
嵐の影に隠れる。
でもそれすらも気にいらないらしくてすぐ、手を繋がれて早足で行こうとする。
「もうすぐ着く?どんなとこ?」
「鞍馬邸みたいに和風ですよ。池も桜もありますし、道場もあります。
後はそうですねぇ、今回は使用人がいます。御影邸は僕所有の屋敷ですから。
ですから、もう瑠璃は夕食は作らなくて大丈夫ですよ」
「そうなんだぁ...ちょっと楽しかったのになぁ...」
「たまには作ってみたらいいのではないのですか?」
「なんかわくわくしてきちゃったなぁ」