君と防音室で…
店長さんについて、店の外に出て…裏側であろうところに連れて来られた。
「ローズ?」
「そ。グラスとかコップとかお店で使うようなものがある専門店。」
ここに買いに行けと言ったクラスの誰か…なんでこんなとこの店知ってるの!?
「じゃあ表の店ってなんなんすか?」
「あそこは…コスプレとか、そういうのがある店。」
「そうなんすねー…あ、学園祭の衣装とかに使えそうなのもあるんすか?」
「まぁ…あるけど。怪しいものも売ってあったりするから…見るなら気を付けてな」
うぁ!この店長さん…一瞬ニヤってしたよ!?
怪しいの?
そのお店。
「どうぞー」
店長さんが重そうなドアを開けてくれて、店内に入る。
こっちの店内は至って普通。
「俺は向こうの店にいるからなんかあったらこっちの店員に聞いて」
どうもーと言った感じで微笑む執事のコスプレ姿の男の店員。
「あ、このコーヒーカップ可愛い!」
「あー女子受けよさそうだな!」
ほんとにすごいグラスとかカップばっかりで感動。
それなのに安くて…すごい!
クラスメートからのオーダーは…可愛いコーヒーカップ、ティーカップに…オシャレなグラス。その他スプーン、クロスなどなど…買い出し係のことを考えてほしいと思うくらいに買う物が多い。
まぁ…勝手に2人で決めて、この店を後にした。
「美音さ、学祭でピアノBGMやるんだろ?表の店で衣装でも見ようぜ」
「え、ちょ…待ってー」
強引に店にはいる優馬について店にはいる。
怪しいってわかってて入る優馬は意外にエロいのか…なんなんだろう
「すご…」
安い。とにかく安い。
それなのにコスプレ衣装の細かさがすごい。
「これとかなんのコスプレなんだよ!」
優馬が持ってたのは真っ黒なふわふわなドレス。
レースとかリボンがすごい。
「あーそれはねぇ、ゴスロリ服だよぉ」
無駄な露出をしてる店員さんが言う。
「美音着れば?」
「やだよ」
ひひって感じで笑う優馬。
「あ、これ可愛いかも」
私の目に止まったのはやっぱり赤のドレス。
「あーそれねぇ、私の好みでつくったんだよねぇー」
「え、お姉さんが作ったんすか!?すごいっすね」
「そぉ?ありがとぉ〜」
優馬の言葉に照れる店員さん。
「ま、衣装係が衣装は作ってくれるから帰ろ!」
「あー、おう。」
『ありがとうございましたぁー」
妙に語尾を伸ばす店員さん達。
苦手…。
「うっわ!まじかよ」
外に出ると大雨で、優馬と私は傘を持っていなかった。
「走る?」
さすがに買ったものが多いし…私の持ってるものはガラス製のものが多いから持って走って割ったりしたら大変。
「無理だよ…歩こ!」
大雨の中、雨に打たれながら…ラブホ街、クラブ、繁華街を抜ける。
そこを抜けたらファミレスが多いからとりあえず雨宿りをした。
「これからどうするかー…とりあえず学校に買ったもん置きに行かなきゃいけないしなー」
「家に一回帰る?」
「俺ん家3駅先なんだよな」
3駅先だと学校まで歩いたほうが全然早い。
「うちはこの辺だけど…」
「…美音の家行っていい?」
「あー…うん。」
優馬と私の家に向かう。
「高級住宅街じゃね!?」
「うん。そうみたい」
私の家はかなりの高級住宅街にあるらしい。
「ここだよ」
「え…ま、じで?」
「そう…だけど?」
「でかっっ!」
優馬はなんかいろいろ言ってるけど、驚いてるだけだと思って家の鍵を開ける。
鍵が閉まってたからまだ誰もいない。
「どうぞ?」
「おじゃましますー」
律儀におじゃましますと言って、ちゃんと靴を揃える。
ピアノのレッスン生以外で男子なんて家に連れて来ないからこれが普通かわからない。
「っうっわ広!グランドピアノだし!」
またも騒ぐ優馬。
人に言われると気付く。この広さ、グランドピアノは普通ではないと。
そのグランドピアノがこの家にもう一つあることを優馬に言ったらどんな反応をするんだろう…
騒いでる優馬にタオルを渡す。