俺様とネコ女

「やんえっち」「チッ」


浴室から出ると、コウがまさに上着を脱いでいるところだった。


「ごめんね一緒に入りたかったよね。言ってくれればよかったのに。あ、もう1回入るね」

「は?ネコ臭くなる」

「臭いは傷つくから、普通に」


偉そうなこと言った割りに、急いで借りたパーカーで身体を隠す私と、一切動じることなくお風呂に入ろうとするコウ。


「お前泊まる用意してたんじゃないのかよ」

「このパーカー好きだもん」


コウはもっと好き。このパーカー借りるつもりだったんだよって言ったら、どんな顔するだろう。

「あー、私のメガネー!会いたかったよっ」

私のメガネがハブラシのそばに置いてあるのを見つけて大げさに再会を喜んだ。わざとらしい私をまるで無視したコウは、まさにパンツを脱ごうとしている。

「見んな、出て行け」


ほんと失礼。わざとメガネをかけてジっと凝視してやる。
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