俺様とネコ女
「何時?」
後ろから聞こえた声。寝起きで普段よりワントーン低い声は、どこか不機嫌そうだ。
「おはよ。んーっとね、もうすぐ12時」
「起こせよ!」
コウはベッドから飛び起きて、クローゼットからスーツとYシャツを取り出し、洗面所へ移動した。
あっ!と閃いて、ネクタイを勝手に選んで、出てきたコウに手渡した。 本当は、私が締めたかったんだけど。
さっき起きたばかりなのに、10分ほどで用意を済ませもう出て行こうとしてる。
「俺もう出る。お前適当に帰れ。鍵はポストに入れとけ」
「うん」
「合鍵作るなよ」
「それいいね」
「よくねーよ」
そう言い残して、車のキーを手にとって出て行ってしまった。
慌しすぎてあっけにとられた。仕事頑張って。それさえ言えなかった。
1人部屋に残されて、吹き出した。